スカーフ・ストール使いを検証する。
本日は、フランスの女性達のファッションにおいて、重要な、スカーフやストールの使い方について
考えてみたいと思います。
フランス人女性あるいは、フランス在住女性の主なファッションで、非常に特徴的と言えるもののひとつに、
そのスカーフ使いがあります。
黒や、茶色、ベージュなどのベーシックなカラーを好むフランス人たちですが、そこにスカーフや、ストールで
様々な色を加えることにより、変化をつけています。
映画から学べるフランス在住女性達の、スカーフ・ストール使い。
フランス人を描いた映画ではありませんが、著者が以前に見たミュージカル映画、誰もが知っているであろう、
「巴里のアメリカ人」。 この映画はアメリカ人から見た巴里のイメージを描いた名作です。
第二次世界大戦での兵役を終え、画家として成功するために巴里で暮らすジェリー・モリガンに扮するのはジーン・ケリー、
彼と恋仲になるリズ・プールビエールに扮するのはレスリー・キャロンですが、
二人がジョージ・ガーシュインの名曲「パリのアメリカ人」に合わせて踊る場面は、今でも多くの人達から絶賛されています。
ジーン・ケリーとレスリー・キャロンの二人が劇中ラストのダンスシーンで身に着けている衣装は色も形も様々です。
現代までも色あせない、パリのセンス。
レスリー・キャロンは劇中で襟元にスカーフをあしらった着こなしをしていますが、
このスカーフの使い方は、フランス人たちが最も得意とするところのものです。
黒のタートルニットを着て赤の柄入りプチスカーフを合わせる、
白のトップスの内側にオレンジ系統の色のスカーフ、
丸首ニットカーディガンには紺地に白の水玉スカーフを合わせてみたりと、これらの装いはまさしく、パリのセンス、としか言いようがありません。
写真引用元・https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AAn_American_in_Paris_(1951)_trailer_1.jpg
スカーフを使った着こなしとは違いますが、ジーン・ケリーも劇中でブルーのニットや白のトップスに
赤のポロシャツをアクセントにした着こなしをしているので、
レスリーとジーンが演じる二人がフランスに根ざした生活をしている表れだと言えます。
フランス人にとって、ベーシックなタートルネックや、カーディガンに、スカーフをアクセントにした
装いは日常最も用いられる着回し法で、この、誰もが知る映画は、アメリカ人であるにも関わらず、
パリの着こなし、フランスの着こなしを表現している点において、私たち日本人にも、見習う点が多いのではないでしょうか。
昨日、ジェニファー・L ・スコット(Jennifer L. Scott)さんの著書「フランス人は10着しか服を持たない」という本について少し書きましたが、
クローゼットの洋服が少ないフランス人だからこそ小物で変化をつけるのかもしれません。
もちろん、クローゼットの中にある服の数はひとそれぞれですが、この小物の使い方の賢さは、
特筆すべきものと感じます。
この映画の舞台となるパリの下町やカフェ、モンマルトルの丘の道路には石畳が敷かれていて
建物の壁の色もモノトーンで統一されていますが、
出演者のかたがたの衣装がグレー系やブルー系を中心とした色なので、どの場面を見ても美しく感じます。
古い映画ですが、時々、DVDで見直して楽しみたい映画です。