フランスの暮らし。第一回。フランス人の新年は伝統菓子と共に。
日本では新年を祝うためにおせちを用意しますが、
フランスでは新年に「galette des rois(ガレット・デ・ロワ)」という伝統菓子をいただきます。
ガレット・デ・ロワは1月6日、あるいは1月2日から最も始めの日曜日に
キリスト教の公現祭・エピファニーを祝っていただくフランスの伝統菓子です。
新年には、フランス中のお菓子店、ブーランジェリー(パン屋)、あるいはスーパーで販売されます。
通常はパイ生地にアーモンドクリームをつめて焼くお菓子ですが
その他のクリームのバージョンもあります。
Galette des Roisを日本語に訳すと「王様(たち)のケーキ(菓子)」ですが、
「des Rois(デ・ロワ)」と「王」が複数形になっています。
フランス語をおわかりになるかたなら、すぐに「どうして王が複数形なのだろう」と
考えられることだろうと思います。私も初めてこの名前を知ったとき、そう考えました。
この「des Rois」は正式には「Rois mages(ロワ・マージュ)」といい
イエスキリストの誕生に際し、星に導かれてベツレヘムにたどり着き、キリストに贈り物を贈って誕生を祝ったとされる
東方の三賢者のフランス語名なのです。
フランスについて知るとき・暮らす上でヨーロッパ全体の歴史や、キリスト教との歴史を忘れるわけにはいきません。
フランス人の暮らしにキリスト教は生活に密着しています。
この公現祭・エピファニー、フランス語ではépiphanieと書きますが
英語でもEpiphany、いずれも古代ギリシャ語の動詞から派生した、Ἐπιφάνεια (Epiphaneia)という名詞からきています。
「出現」「顕現」を意味するこの言葉、
1月6日から12日前の12月25日に誕生したとされる、イエスキリストの誕生を祝うイエスキリストの出現(顕現)を記念するお祭りです。
ノエル(降誕祭)が終わって間もないお祭りのように感じますが
この12月25日から公現祭・エピファニーまでを実は「降誕節」と呼び、イエスキリストの誕生を祝っています。
ノエルのデコレーションやマルシェ・ド・ノエルが1月まで続くのはこの日までがお祭りだから。
このGalette des roisガレット・デ・ロワ、通常はパイ生地にアーモンドクリームをつめて焼くお菓子ですが
その他のクリームのバージョンもあります。紙製の王冠の飾りをパイと共に出します。
このガレット・デ・ロワには「Fève(フェーヴ)」と呼ばれる小さな陶器の小物がひとつ、隠れていて
切り分けた後にそれが当たった人は、その日一日「王様」になれ、パイと共に出された紙製の王冠を被って、皆から祝福されます。
このFèveフェーヴという言葉は「ソラマメ」を意味します。
もともとはソラマメを入れていたそうですが、今日では陶器製の小物。下がFèveフェーヴです。
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このFève(フェーヴ)、実はコレクターが多くいて、インターネットのオークションサイトや蚤の市で
探している人も多いのだとか。
確かに、蚤の市に出かけると多く見つけることができます。
さて、このGalette des rois(ガレット・デ・ロワ)先日、我が家でもいただきました。
今年は、主人の家族と共に2種類のガレット・デ・ロワを5人でいただいたので、
誰に当たるか楽しみ・・・、と思い食べ始めたところ・・・当たりました !!
今年は私が当てました。(こっそり言いますと、私神社でおみくじを引くと毎回大吉を引くタイプです。)
中に入っていたFève(フェーヴ)は、子供が大好きなキャラクターの
Titi(Tweety)でした。日本ではトゥイーティーと呼ばれて親しまれている
カナリアのキャラクター、フランスではTiti et Grosminetと呼ばれています。
近日中に写真を撮ってUPしたいと思います。下二枚の写真は南仏・プロヴァンス地方のGalette des rois(ガレット・デ・ロワ)、地方によって違いがあります。
次の記事では昨年11月16・17・18日と3日間に渡ってフォンテーヌブロー城で行われた
チョコレートの祭典「Salon impérial chocolat」についてお伝えします。
第3回目のこの祭典に行ってきました。お楽しみに。