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先日、パリに2度目の雪が降った日に、間もなく4歳になる息子が高熱を出しました。
朝、息子が着替えをしていた際に妙に体が熱かったので、熱を測ってみると37度2分。
高熱でもないし、本人は元気そうにはしゃぎまわっていたので
学校に送り出しましたが、それから2時間もせずに電話が掛かってきて、
「お子さんが39度の熱です。すぐに迎えに来てください。」とのこと。
わずか2時間で39度まで上がった熱に驚き、
「インフルエンザワクチンはもう以前に打ったのに、まさか、インフルエンザ だろうか・・・
それとも抗生物質の必要な状態だろうか。」
と学校まで迎えに行き、主治医のもとに連れて行って検査をしていただきました。
ご存知の通り、インフルエンザは重症化の場合に、人間の命を奪う恐ろしいウイルスです。
もちろん病気はインフルエンザのみではありませんが、
我が家では、「子供の様子がおかしい」と疑いを持った場合には
すぐに主治医のもとに連れてゆきます。
検査の結果はインフルエンザではなく、
また抗生物質を必要とする細菌感染でもなく、
解熱剤だけを与えればよいとの診断で多少、安心して帰宅、
子供の熱もすぐに下がり、翌朝にはまた元気に跳ね回っておりました。
毎回毎回、子供が熱を出す度、体の調子を崩し、医者にかかり
「大丈夫です。重い症状ではありません。」と言われる度に思うことは「ワクチンを打っておいて良かった」。
その後、偶然ですがパリの街で無料配布されている
新聞に子供のワクチンに関する気になる記事を見つけ、
更にフランス公衆衛生局(l’agence sanitaire Santé publique France)から
「フランスの全ての地域は既に1000人以上の死をもたらした
インフルエンザ菌に感染している」との発表がありました。
ところで、フランスでは、2017年8月31日にAgnès Buzyn(アニエスビュザン)厚生大臣のインタビューがあり
大臣は子どもの予防接種で11種を1月1日から義務化すると予告しました。
それまでは、ジフテリア、破傷風、ポリオの3種のみが義務でしたが、これを百日せき、ヒブ、B型肝炎、
小児用肺炎球菌、C群髄膜炎菌、はしか、風疹、おたふくかぜを加えて全11種を義務としました。
義務的な予防接種を受けていない子どもは、新法律で原則として託児所・幼稚園等の利用が認められなくなりました。
フランスでは近年、ワクチン有害論が勢力を伸ばしていますが、
政府はそうした動きに逆行する決定を下しています。
私が先日見つけた気になる記事というのもこのワクチン事情の
変化から一年を経た結果を綴ったものでした。
私が見つけた記事というのは「20 min」という新聞の記事です。
「L’obligation vaccinale commence à faire effet」ワクチン義務が効果を現し始めた
とありました。以下、リンクを貼っておきます。
https://www.20minutes.fr/sante/2430559-20190118-vaccins-an-apres-extension-obligation-vaccinale-enfants-confiance-retour
この記事では、2018年1月1日から施行されているワクチン義務から
一年を経過した経過報告がなされていますが、以下のように書かれています。
2018年1月1日に発効の法律で、2018年以降に誕生し、全ての共同体(保育園、保母、学校)で預かられている子供たちは
11のワクチンを接種することが義務付けられました。以前のように3つではありません。
これは保険省、周囲を歯軋りさせていたアニエス・ビュザン(Agnes Buzyn)厚生大臣の決定です。
この延長から1年後、大臣と医師は最初の結果に満足しています。
予防接種の適用範囲が増え、自信が徐々に回復しているようです。
なお、2017年8月31日のビュザン厚生大臣へのインタビュー全文は以下でご覧いただけます。
http://discours.vie-publique.fr/notices/173001608.html
このインタビューの中で、ビュザン厚生大臣はインタビュワーの「何がビュザン保健相の優先事項ですか」との問いに
「予防」であると答え、更に
「既に30年もこのことを話していますし、私は、私たちの国で流行である慢性疾患に対しての
本当の予防行動を持つ時が来たと考えます。
正義、私は社会正義、公平について話しています。
私はフランス人たちにこの怒りを生み出す不公平感があると考えます。
私は、私たちが言及している改革、とりわけ私の連帯の分野では、フランス人にこの正義感を与えたいと思います。
私は長期的な展望について話したく、長期的展望のために行動し、私たちの子供たちのために行動します。」
更に、ビュザン保健相はインタビュワーの
「10から15%の親たちは「私たちは私たちの自由の名においてあなたのワクチンを欲しません。
危険がある。11ものワクチンをゼロから2歳の子供の体に打つことは危険だ。」と言いますよ」
との問いに
「既にフランス人の5家族のうち4家族はワクチン接種を受けるに至っている、
既に700.000人の子供はワクチン接種ずみ」と答え、
更に「これまでの30年で私たちの子供たちがこれらワクチンによって危険にさらされたとは思わない」と
語られています。
下は保健省から発表の、今週2月6日のインフルエンザ報告書。

— インフルエンザの活動性に関するすべての指標の顕著な増加
– 入院に対するインフルエンザの重要な貢献
– A(H3N2)ウイルスとA(H1N1)ウイルスの共循環pdm09
– インフルエンザ監視開始以降、03週までにインフルエンザに起因すると考えられる死亡者数は約1,100人
– すべてのリスクのある個人について、最初の有効性への評価は、A(H1N1)pdm09ウイルスに対しては中程度、A(H3N2)ウイルスに対しては弱。
– これに関連して、冬季ウイルスに対する保護措置の重要性
「Lexpress」の記事で、既に約1.100人の死亡がインフルエンザに関連していると
書かれています。
https://www.lexpress.fr/actualite/societe/sante/l-epidemie-de-grippe-a-deja-fait-plus-de-1000-morts_2061150.html
1月の最初の4週間に、すべての年齢の超過死亡率が観察されています。
01週から03週の間(全死因死亡率データが事前に統合されている週)、
この超過は8%または3,000人近くの死亡と推定され、主に85歳以上の人々に関係します。より少ない程度で15-64歳。
同時に、2018年10月の監視開始から03週までのインフルエンザに起因すると思われる
死亡者数の予備的推定は、約1,100人の死亡者がインフルエンザに関連していることを示しています。
私が今回この記事を書くきっかけとなりましたのは
私自身の子供が生まれてから、2度ほど、家族全員が熱をだした経験からです。
幸いなことにインフルエンザではありませんでしたが
今後は更に健康に気を配る必要がある、と気持ちを新たにしました。
更に、ネット上でいくつもの医師の方の書かれた
悲しい体験談を読んだからです。
インフルエンザに罹った子供さんを病院に連れてきたお母さん。
病院(あるいは医師)は子供さんが重症であることを検査で見極め
すぐさま重症治療に取り掛かったけれど、
その子供さんを救うことが出来なかった。
大切な命がいとも簡単に失われてしまう悲しみをワクチンで救うことが出来るのなら。
私自身は未だ「インフルエンザ」にかかった経験がないのですが、
子供は保育園・学校・習い事と共同生活が多くなってきていますし
予防措置としてワクチンを打っておく必要があるとの判断で子供にも
インフルエンザワクチンを打たせました。
(私の子供は2015年生まれですので、今回の記事で上にご紹介した法律施行の
11のワクチン義務には含まれていません。従ってインフルエンザワクチンは任意です。)
息子の主治医の小児科医師によると、今年はワクチンがよく受け入れられているのだとか。
私たち人間は共同生活をおくる上で、自分自身を守るということも大切なのですが
他者に病気を移さない、という重要な役割をも果たしてゆかなければ
ならないと、これは私個人の判断ではありますがそう考えます。
ひとりひとりの人間の命は大変、貴重なものです。
このワクチンで貴重な命を落としてしまう事態を防ぐことが出来るものなら
と考えます。
そのような考えから、本日は2018年から施行されているこの11のワクチンを義務とする
新法律をご紹介いたしました。
今回は子供への法律によるワクチン義務とインフルエンザワクチンについてのみ
言及しておきますが、今後更にお話しする機会を設けたいと思います。
なお、この記事を読まれて、「私もインフルエンザワクチンを打ちたい」というかた、
私は先日ファーマシーにて薬剤師の人と色々話していて
ワクチンについて教えていただいたのですが、インフルエンザワクチンはシーズンの終わりごろになると
製造元でも在庫切れ状態になるのだとか。
(シーズンの終わりとはいいましても、フランス公衆衛生局の今週分の発表を読む限り、
インフルエンザは全く収まっていませんね。)
というわけで、シーズン始めのワクチン入手をお勧めします。
私自身も今年11月に再度、ワクチンを打つ予定にしています。
なお、最後にフランス国立予防機関の
INPESのサイトへのリンクを貼っておきたいと思います。
http://inpes.santepubliquefrance.fr/10000/themes/grippes/index.asp