大統領と共に祈る。サン・ラファエル、八月十五日。

パリガイド, フランス国内・魅力の旅行。

大統領と共に祈る。サンラファエル、八月十五日。
8月15日によせて。

フレンチリヴィエラの名で知られる南仏・コートダジュールの海岸線沿いには
美しい港町が並んでいます。
今日ご紹介するのはカンヌとサントロペの中間にあるサンラファエルです。
カンヌとサントロペの中間と書きましたが、カンヌはアルプ・マリティーム県に位置し
サントロペはヴァール県に位置していますのでそれぞれ、別の県になりますが
サンラファエルはその中間に位置します。

フランスにおいては夏の間に2度の祝日があります。
1度は7月14日・キャトールズジュリエ、誰もが知る「革命記念日」ですね。

もうひとつの祝日が8月15日。今日はサン・ラファエルと8月15日のお話です。
この祝日はカトリックの祝日である聖母マリアの被昇天祭・Assomptionですので
イタリアのバチカンを初めとして、フランス全土の教会にてミサがおこなわれますが
この日、南仏においてはミサだけではなく多くのイベント・祭典が行われます。

日本においては、終戦記念日であるこの8月15日は
南フランスと第二次世界大戦の歴史においても
非常に重要な意味を持つ1日で
南仏で開催されるそれら多くの祭典の中心地となるのが
このサンラファエルの街です。
これら祭典は「 commemoration(コムモラシオン)」と呼ばれ、南仏プロヴァンス各地で行われます。

下はサントロペの8月15日。祭典の後にパトロイユ・ド・フランスによる航空ショー。

このサンラファエルの街には、第二次世界大戦中の1944年8月15日に行われた
南フランスへの連合軍上陸作戦・「ドラグーン作戦」を追悼する
国家の墓地遺跡・Nécropole Nationale de Boulouris
「ネクロポール・ナショナル・ド・ブロリス」があります。

1944年8月15日に、ドイツ軍によって占領されていた
南仏を開放させるために連合軍が上陸をしたのは、
このサンラファエルの海岸を含む海岸線でした。

下の写真。上陸作戦中のサンラファエル、奥に見えるのは「Ils d’or」黄金の島という名の島。

photo: domaine public/cyrilb1881

下の写真。カンヌから、サントロペまでの船上から超望遠で撮影した、黄金の島の今日。

1944年8月15日から28日まで南仏プロヴァンスで繰り広げられた
「プロヴァンスの戦い」で命を落とした兵士たちを追悼する、この国家の墓地遺跡が
ドゴール将軍によって建築されたのが1964年8月15日のこと。
この地にはこの戦いで命を落とした464人の方々が埋葬されています。

この国家遺跡墓地では毎年、8月15日に祭典が行われます。
昨年の8月15日は75周年を記念してマクロン大統領、
それにサルコジ前大統領もお見えになりました。

この日のマクロン大統領のスピーチがエリゼ宮のサイトで見られます。
(なお、便宜上「大統領と祈る」というタイトルをつけましたが、
このネクロポール・ナショナル・ド・ブロリスでの式典には関係者以外は入場できません。)

http://www.elysee.fr/emmanuel-macron/2019/08/14/cetait-il-y-a-75-ans-retour-sur-le-debarquement-de-provence

Copyright: elysee.fr

フランスと第二次世界大戦の歴史においては
大戦中にドイツ軍によって占領されていた西ヨーロッパへの
侵攻に成功した連合軍(アメリカ・イギリス・自由フランス軍など)の作戦・
ノルマンディー作戦(1944年6月)が有名で今日も多く語られていますが
ノルマンディー作戦を支援する目的で
この南フランスへの上陸作戦も、1943年には検討されていたといいます。
目的はドイツ軍占領下にあるマルセイユと
トゥーロンを開放し、先のノルマンディー作戦に参加した軍とローヌ川で
合流すること。

連合軍によるその上陸作戦「ドラグーン作戦」は
カンヌからトゥーロンで繰り広げられた戦いで
1944年8月15日、このサン・ラファエルとサントロペ、
カヴァレールシュール海岸を中心として始められ、
プロヴァンス全域に渡った戦いは8月28日まで続きました。

一方パリでは8月19日に市内のレジスタンスが武装蜂起を開始し
25日には「自由フランス軍」を率いるルクレール将軍
とその第2機甲師団のパリ突入、
ドイツ軍司令官フォン・コルティッツ将軍が無条件降伏を受諾。
1944年8月25日、パリ解放 。

翌26日、シャルル・ド・ゴール将軍は
パリのエトワール凱旋門からノートルダム大聖堂までの凱旋パレードを行い、
シャンゼリゼ通りを埋め尽くしたパリ市民から熱烈な喝采を浴びました。

(尚、8月25日は「パリ解放記念日」ですが今日ここでは取り上げません)。

 

http://www.ville-saintraphael.fr/information-transversale/actualites/ceremonie-du-15-aout-informations-pratiques-1095

Copyright: Ville de Saint-Raphaël & Stratis/© Ville de Saint-Raphaël

今日のサンラファエルでは、連合軍が降り立ったその砂浜が一般に開放されています。

http://www.saint-raphael.com/fr/loisirs/plage-du-debarquement-4778685/

 

下の写真。今日のサン・ラファエルです。

下も今日のサンラファエル。

これより次ページへ参ります。

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