ロックダウンとフランス風景。フランスはいつも美しい。
こんにちは、麗です。
フランスでは10月中旬から11月1日までToussant(トゥーサン)のヴァカンスで
私と家族はは、4月に亡くなった義父から相続した別荘の管理のためもあって
ノルマンディーの別荘に滞在していました。
(今回の滞在から別荘にもコンピューターを
持って行っているのですが、まだ日本語導入をしていませんので
ブログの更新が出来ませんでした。それがブログ更新が滞っていた理由です。)
下の写真。映りの良い写真ではなく、通常は載せない写真ですが夕日の色が美しかったので記念として載せておきます。
別荘滞在中の28日に、マクロン大統領のテレビ演説があり
みなさんご存知の通り、フランスは10月31日から再度、
新たなロックダウン(都市閉鎖)措置が開始されました。
テレビ演説では「少なくとも12月1日まで」とのことです。
私たち家族は、大統領がテレビ演説をされると知ってから
「これは再度のロックダウンだろう、別荘に滞在しながら自粛するか、パリへ帰るか」と
主人と共に考えていたのですが、大統領のテレビ演説を見て
今回のロックダウンにおいては学校が閉鎖されないと知りましたので、
大慌てで別荘からパリへと戻ってきました。
この時期、パリおよび近郊は天候不順で、外出もままなりませんでしたので別荘から出ないで敷地内で過ごしていました。
敷地内には栗の木が何本もありますので、栗を拾い、オーブンで焼いて食べました。
別荘には死んだ木が何本かあって、別荘においている庭師に切っておいてくださるようにお願いしてあったのですが
今回には一応、切ってあったけれど、まだ捨てていない状態でした。
春に2ヶ月続いた前回のロックダウンとは異なり
今回は学校は閉鎖されず、一部の公的サービスも、工場や農場も
操業を許可されています。
全面的な活動停止による経済面への打撃を防ぐための措置でしょう。
ただし一般的なレストランやバーは休業を余儀なくされ、
多くのレストランはお持ち帰り可という措置で営業を続行しています。
私はヴァカンスから帰ったら美容室に行って、
ヘアカラーを変えようと考えていましたが、当分の間待ちたいと思います。
今回のロックダウンにおいては公園も操業が許可されていますので
先日家族と共にパリ15区と16区の境にある
白鳥の島、また別名で白鳥の散歩道と呼ばれる「L’île aux cygnes」に散歩に出かけました。
この島からエッフェル塔、セーヌ河、更に遠くにはサクレクール大聖堂も眺めることが出来るので
私の大好きなパリのスポットのひとつです。
下の写真: 白鳥の散歩道には自由の女神があります。朝日と夕日の時間どちらも美しいのがこの場所の特徴。下は夕日です。
この時期パリでは天候がぐずつきがちなのですが
私たちが到着した時間には太陽が出ており、
その光景の美しさに感動していました。
偶然ひとつのベンチが空いていましたので
座ったところ、大勢の白鳥たちと鴨たち、それにセーヌ河の上空に多く飛ぶカモメたちまでが
私たちの足元まで来てくれて、非常に長いあいだ居てくれました。
偶然に白鳥たちのお気に入りの場所だったのでしょうか。
このような偶然にも、心からの感謝が湧いてなりませんでした。
忙しさのあまり、パリの美しさを忘れかけていましたが、パリはいつでも美しいのだと感動しました。
以前にこの白鳥の散歩道を記事にしたことがあります。リンクを貼っておきます。
先日から、フランスで、更にヨーロッパの都市においてもテロ事件が発生しています。
私は普段から、日本に生まれ海外で暮らす者のひとりとして、自分に課していることがあります。
それは、普段からこのブログで書いていることでもありますが
良い意味で「人は人、自分は自分である」としっかりと認識した上で行動する。
これは他者の大切な領域に土足で踏み込むような真似をしないという意味です。
更に、優劣や競争意識から人間関係や物事を判断しない。
国籍や、人種の違いや思考の違いから物事を判断せず、
優劣・競争意識から、憎しみから抜け出してゆくときに、世界はそのありかたを変えることが出来ると
私は信じています。
さて、今日は再度上記した別荘の話をしておしまいにしたいと思います。
別荘においての主人との会話で、ノエル(クリスマス)の話をしていました。
「ノエルの時期になったらこのテラスに、サパン(もみの木)を買って配置しない?」
すると主人いわく、いや、サパンならあるんだよ、とのこと。
見せてあげるから一緒においで、と言われてついていったところ
「これだよ」と見せられたのは20メートルはあろうかという庭に生えたもみの木(に似た木)。
こ、これ? これを私たちのサパンにするの?
なかば噴出しそうになりながら
「じゃあこれにデコレーションしましょうか。
LEDライトとか。オーナメントとか。」というと、
「うん、じゃ君がはしご持ってきてデコレーションしてちょうだい。
で、君のことだからね、モンシェリ、タスケテーって言うんだよ。
スーパンマン(注:主人のこと)が助けにくるからまあ、頑張ってちょうだい。」と妻をからかって言います。
ふたりで大爆笑してしまいました。
ふと、私がまだずっと若かった頃、それは16、17歳ごろだったか
当時に読んだ本の一節を思い出しました。
ポール。モラン(Paul Morand)著の「L’allure de Chanel/獅子座の女シャネル」。
私はこの本を当時、秦 早穂子氏訳の日本語版で読んだのですが
この本からシャネルの言葉を少し、引用させていただきます。
あたしにとってのぜいたくというのは、イソアールの伯父の家で、
オーベルニュ産の家具が、歳月にみがかれているのをさすのだ。
むらさきがかった桜や、くろのなしの木でつくられた家具。
スペイン風の食器棚やフラマン風の衣装棚に似ていて
べっこうの脚のついたブールの時計。
たんすには敷布がぎっしりしまってある。あれが本当のぜいたくさだ。
ずいぶん質素な子供時代を送ったと思い込んでいたが、今考えると、どうして、
とてもぜいたくなものだった。オーベルニュでは全てが本物で、大きかった。
引用:L’allure de Chanel/Paul MORAND/秦 早穂子訳 「獅子座の女シャネル」文化出版局
オーベルニュはマドマゼル・ココシャネルが幼少時を過ごした土地ですが、
現在私はこうしてフランスに住み、
フランス人と共に暮らし、こうしてノルマンディーの別荘で過ごして思うことは
全ては本物で、大きいのだ、ということです。
フランスという国のぜいたくさ、大きさはこのような
歴史と共にあり、「本物」を受け継ぐ姿勢から来ているのだ、と感じます。
フランスは美しい。
パリ、それはたゆたえども沈まず。
コロナウイルスの危機も乗り越えられることを願っています。
次の記事は「パリ秋景色」です。